カメラの用語は、
むずかしいものが多いですよね。
意味を調べようとして取扱説明書を見たり、
ネットで検索してみても
説明自体に専門用語がてんこ盛りで
なおさら、わからないカメラ用語が増えてしまう・・・
私も一眼レフを持ったばかりの頃はそうでした。
今回のテーマ
「〇〇EV」「〇〇段」もその一つ。
「EV」の意味については、
AE(自動露出)で撮影している時は
特に気にしなくていい項目だったりします。
AE(Auto Exposureの略)とは、
カメラが撮影しようとしているものの明るさを
自動的に判断して露出を決める機能
のことを言います。
「撮影モード」と呼ばれることが多く、
「プログラムAE」ならシャッタースピードと絞り、
「シャッタースピード優先AE」なら絞り、
「絞り優先AE」ならシャッタースピードを
撮影しようとしてシャッターボタンを押した時に、
カメラが自動的に決めてくれます。
カメラに慣れてくると、
「もう少し明るく撮りたいな」
「明るさはこのままで、背景をもう少しぼかしたい。」
といった欲が出てくる時期があります。
この時に、
「EV」のことを知っていると
思い通りの写真が撮れるようになります。
このページでわかりやすく解説していきます!
カメラ用語「EV」をわかりやすく
解説します!
カメラ雑誌を手に取って読んだり、
カメラ経験者の方と話したりすると
「私はプラス1/3段で撮ることが多い」
「この場合は1段絞るといい」
という感じで、文章や会話の中に
さらっと出てきます。
カメラデビューしたての頃は、
「そうなんですか。やってみます。(汗)」
とわかっている風に答えてましたが、
内心ドキドキでした。
「EV」「段」について知ると、
『そうか!
こういうことを言っていたのか』
と、理解が一気に深まります。
少しずつ見ていきましょう。
「EV」「段」は実は同じ意味
結論から言いますと、
「EV」と「段」は“同じ意味”なんです。
日本語では「段」、
英語では「EV(Exposure Value)」
と表記されます。
露出補正を意味する時は「EV」が、
F値やシャッタスピードを表すときは「段」が
使われることが多いと言われています。
このページでは、
「EV」を主として説明していきます。
「EV」とは明るさの単位のこと
「EV」と「段」は
“同じ意味”だと先ほどわかりました。
それでは次に、
「EV」という言葉は
写真の“何”を示しているのでしょうか?
その答えは・・・
『明るさ』です。
ある明るさから、
どれだけ明るいか、
もしくは暗いかを表す単位のことを言います。
まず最初に、
基準となる明るさ
(例として出された写真など)があって
そこから明るくする、
暗くするという風に使われることが多いです。
EV値の基準について
EVには、
“基準値”があります。
まずは、
この基準値をしっかり覚えておきましょう。
カメラのISO感度が「ISO100」の時、
シャッタースピードは「1秒」、
絞り(F値)が「F1.0」
この条件で写真を撮影した時
適正露出になる被写体の明るさが
『EV0』となります。
EV値の明るさの目安について
(撮影したいシーンのEV値)
EV値は、明るさが2倍、4倍、8倍に増えると、
EV1、EV2、EV3と増えていきます。
逆に明るさが1/2倍、1/4倍、1/8倍と減ると、
EV-1、EV-2、EV-3と減っていきます。
表にすると、以下のようになります。
表を見ると、
EV値の欄はスッキリと見やすいですが、
倍率で表すと、
5桁の不規則な数字が並んでいて
スゴイことになっています。
EV値とは、
光の明るさを倍率で表すと
桁数が多くてものすごく見づらいので
もっとずっとわかりやすい数値にしたもの、
と考えて頂いて差し支えありません。
1EVってどのくらいの明るさなの?
例えば
「1EV明るくする」場合、
写真の明るさはどのくらい変わるのでしょうか?
「1EV明るくする」
これは、ある基準の明るさから、
光を2倍多く取り込んだということになります。
「2EV明るくする」のなら、
2倍×2倍=4倍光を多く取り込んだ、
ということを意味しています。
暗くする場合も同様です。
「1EV暗くする」
これは、ある基準の明るさから、
光を1/2倍減らした
ということになります。
「2EV暗くする」のなら、
1/2倍×1/2倍=1/4倍光を減らした、
ということになります。
明るさが変わる要素は3つあります
写真の明るさを決める要素は、
「シャッタスピード」
「絞り」
「ISO感度」
の3つがあります。
EVの数値が変わる要素も3つある、
ということになります。
「1EV明るくする」場合、
・シャッタスピードを2倍遅くする
・絞りを2倍開く
・ISO感度を2倍高くする
この3通りあるわけです。
露出って何?
「露出」とは、
写真の明るさを決める大切な要素のことです。
撮像素子(イメージセンサー)に
あてる光の量を調節して、
写真の明るさをコントロールして、
被写体の像をデータとして保存します。
被写体の状態がきれいに撮れている明るさや
撮影者であるあなたがちょうどいいと感じる明るさを、
適正露出といいます。
絞り(F値)で光がレンズを通ってくる量を
シャッタースピードで光がレンズを通ってくる時間を
ISO感度で光に対する反応のしやすさを
それぞれ調整して、
写真の明るさを調節しています。
露出を変えると何がどうなるの?
露出を変えると、
写真の明るさが変わります。
露出は非常に重要です。
とってもとっても重要です!(念押し!)
今では、
スマホやコンパクトデジカメのシャッターを押すだけで、
何も考えなくても
キレイな写真が撮れるのが普通になっています。
露出の設定を間違えると、
明るすぎたり暗すぎたりする失敗写真になってしまいます。
どんなに素晴らしい被写体も
シャッターチャンスも
露出が適正でないと
本当に残念な結果になってしまいます。
シャッタースピードとEVについて
シャッタースピードを表す数値として
「TV値」があります。
テストがあるわけではないので
丸暗記とかはしなくても大丈夫です。
これから説明することを、
「ふ~ん、へ~、そうなんだ~」と
さらっと読み進めていただければOKです。
表のように、
シャッタースピードが1秒の時、
TV値は0(ゼロ)。
シャッタースピードが
2倍、
4倍(2倍×2倍)、
8倍(2倍×2倍×2倍)になると
TV値はTV1、TV2、TV3、・・・
と増えていきます。
逆にシャッタースピードが
1/2倍、
1/4倍(1/2倍×1/2倍)、
1/8倍(1/2倍×1/2倍×1/2倍)になると
TV値はTV-1、TV-2、TV-3
と減っていきます。
EV値は明るくなると
EV値の数値も大きくなっていきますが、
TV値の場合は、
数値が大きくなると光の量は減る、
という特徴があります。
絞りとEVについて
シャッタースピードを表す数値として
「TV値」があるように
絞りを表す数値もあります。
「AV値」といいます。
絞りの場合は、
F1.0の時AV値0(ゼロ)で、
F値が1.4、2.0、2.8と大きくなると
AV1、AV2,AV3と増えていきます。
TV値の場合は、
数値が大きくなると光の量は減る、
という特徴がありました。
AV値も、
数値が大きくなると光の量は減っていきます。
ちなみに、
F値の数値は1.4倍ずつという
中途半端な増え方をしていきます。
これは、
光が通る面積が半分になるためです。
レンズ開口部の直径が単純に1/2ではなく、
1/√2(1/1.414…)になるから。
算数や数学が苦手な方は、
さらーっと読み進めてください。
EV値とAV値とTV値の関係について
EV値は、
明るくなるとEV値の数値は大きくなり、
TV値とAV値は、
数値が大きくなると光の量は減る
とご説明してきました。
このことによって
EV値=TV値+AV値
という式が成り立ちます。
例として、
ある晴れた日に撮影に来たとします。
この時のEV値が14とします。
絞りはf8.0で撮りたいなあと
思っているので、
AV値は6になります。
上の式に当てはめてみると、
EV14=TVx+AV6
TVx=EV14-AV6
TVx=8
TV8である1/60秒で撮影すれば
適正露出を得られる、
という計算になります。
「露出は大事!重要!」
「絞りがどうの、シャッタースピードがどうの」
ということがわかっていても、
いざ撮影したい被写体や風景に出会ったときに
「適正露出をどう導き出せばいいかわからない」
「何か明確な数字で出せる方法があるといいのに」
という方は参考にしてみてください。
ちなみに
EV値が14になるTV値とAV値の組み合わせは
以下のようになります。
縦軸はTV値(シャッタースピード)、
横軸はAV値(F値)が示されています。
TV値とAV値が交差した箇所の数値が
EV値となります。
オレンジ色になっているところを
見てください。
シャッタースピードと絞りの
組み合わせは違っていても、
EV値はどれも14になっていることが
おわかりいただけると思います。
どの組み合わせを選ぶのかは、
あなたが撮影したい風景や被写体を
どのように撮りたいのか によって変わってきます。
絞りをできるだけあけて
背景をぐっとぼかしたいなら
一番下の組み合わせ、
被写体も背景も
ピントを合わせて撮りたいなら
絞りを絞り込む一番上の組み合わせになります。
EV値、TV値、AV値の関係性が
理解できていると、
適当にシャッタースピードや
絞りをいじってしまって
変に暗く(明るく)なってしまったり、
背景が良い感じにボケていたのに
なんか違う感じになってしまった!
という失敗を減らすことができます。
1種類のEV値だけでも、
TV値とAV値の組み合わせが
たくさんあることがわかりますね。
先ほどのの換算表で、
EV値を導き出すための
TV値とAV値の組み合わせを
調べることができます。
数値がいっぱいあって、
目がチカチカしそうですが、
自分が撮影したい明るさのEV値をあらかじめ決めて
そのEV値が示されている
TV値とAV値を見ていくようにするといいです。
一つだけではなく二つ組み合わせてもOK
数値を動かすのは1種類のみ!
というルールがあるわけではありません。
適正露出の範囲であれば、
失敗写真になる確率はグンと減りますので
いろいろ試行錯誤してみましょう。
背景をぼかしたいから
絞りは一段あける、
光が増えると写真が明るくなりすぎるから
シャッタースピードを速くして
光の量を減らそう
(プラス1EV→マイナス1EV=プラマイゼロ)
もっと明るくしたいから、
絞りとシャッタースピードを
1段ずつ上げよう
(2EV分明るくなる)
こんな感じでOK!
ISO感度との関係
ISO感度についても見ておきましょう。
このページでは、
ISO感度は「ISO100」に固定して進めてきました。
ですが、
夕暮れ時や暗い室内だと
適正露出が得られないケースが出てきます。
ISO感度が変わった時に
どのように考えればよいかお伝えします。
ISO感度は、
ISO100をISO200にした場合、
EV値を1段増やします。
ISO100をISO50にした場合は、
EV値を1段減らします。
(カメラの機種によっては、
ISO100より下の設定はないものもあります)
例を出すと、
被写体の明るさが
EV12(曇り)の時に
ISO感度をISO100からISO200にした場合、
EV12に1を足して、
EV13とします。
このEV13となる
TV値・AV値の組み合わせを選べば
適正露出を得ることができます。
以下の早見表を参考にしてみてください。
先ほど出てきた
EV値・TV値・AV値との関係は
EV値=TV値+AV値ーISO感度の補正段数
と表されます。
例えば、
曇りの日に(EV値12)、
絞りf8.0(AV値6)で
ISO感度400(補正段数2)の場合
先ほどの式に当てはめてみると
EV値=TV値+AV値ーISO感度の補正段数
EV12=TVx+AV6-補正段数2
TVx=EV12ーAV6+補正段数2
TVx=8
TV値8にあたる1/250秒で撮影すれば
適正露出になります。
まとめ
EV値がわかると、
おおよその明るさや適正露出を得るための
TV値やAV値が導き出せることがわかりました。
実際にシャッターを切って
写真の仕上がりを見てみましょう。
「写真自体はきれいに撮れてる。
背景をもっとぼかしたい(背景もクッキリ写したい)
もっと明るめ(暗め)だとどんな感じかな?」
適正露出の範囲なら、
いろいろ設定を変えられますので
『あなただけの一枚』を探してみてください。
時間がたつのも忘れてしまうかも!
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