「絞り」って、知っておかなきゃダメですか?!
デジカメを手にしたばかりのカメラ初心者さんは、
この「絞り」や「f値」の数字を見ると、
『なに、この不規則すぎる数字は?
やっぱりシロウトには難しい!!』
と思う方もいるかもしれません。
でも、大丈夫!そんなに難しく考えないで。
全ての数字を丸暗記しなきゃいけないわけではありませんから。
じ・つ・は・・・
この「絞り」の数値が写真の仕上がりをかなり大きく左右します。
全体にピントが合った風景写真や、憧れの背景が大きくボケた写真、
あなたもそんな写真が撮れるようになりますよ。
「露出」って何?
「露出」という言葉を聞くと、
女性だと少し肌を見せるファッションが思い浮かぶかもしれませんね(オフショルダーニットとか)。
他には、『この面白い芸人さん、露出が増えてきたなあ』
この場合だと、露出=テレビ出演という意味になりますね。
カメラ用語としての「露出」とは、
写真を撮るときにカメラに取り込まれる光の量のことです。
写真を撮る際に光はとても重要です。
レンズを通してカメラの中に光を取り込んで、その光をイメージセンサーに照射して、
シャッターボタンを押すことでSDカードに写真が保存されます。
光の量が多いと明るい写真になり、少ないと暗い写真になります。
光の量が多すぎると、露出オーバーとなります。
修正できないほどの状態になると、明るすぎる失敗写真になります。
逆に光の量が少なすぎると、露出アンダーとなります。
修正することができないレベルだと暗すぎる失敗写真になります。
ちょうどいい光の量を設定して撮ると、ちょうどよい明るさ・色合いの写真に仕上がります。
この“ちょうどいい光の量”を決定づけるのが、
「絞り(f値)」と「シャッタースピード」と「ISO」なのです。
順を追って解説していきますね。
「絞り」って何?
レンズを通る光の量を調節している穴のことを絞りといいます。
カメラのレンズはこの穴の大きさを自由に変えることができます。
レンズによって一番大きい穴と一番小さい穴は変わります。
穴が大きいと光をたくさん取り入れることができますし、
穴を小さくすると光の量は少なくなります。
人間の目でいうと瞳孔の役割を持っています。
人間の目は、明るいところでは瞳孔は小さくなり、暗いところでは瞳孔は大きくなって
網膜に入る光の量をコントロールしています。
絞りの穴が一番小さい状態を「絞り込む」、
絞りの穴が一番大きい状態を「開放」という言葉を使ったりします。
「f値」って何?
「f値」とは、絞りの穴の大きさを表す単位のことです。
f値が小さいと絞りの穴は大きくなり、f値が大きいと絞りの穴は小さくなります。
『数字は小さいけど絞りの穴は大きい?
逆に数字が大きくなると、絞りの穴は小さくなる?
なんかこんがらがるよー!!』
私がカメラを持ち始めた時と同じ反応をしている方がいるかもしれません。
あまり考えすぎずに、肩の力を抜いて下さいね(^-^)/
f値の配列について
f値の配列と穴の大きさを図で表すと先程の図のようになります。
この数字を丸暗記する必要はないので、安心してください。
穴の大きさを小さくすることを「絞る」、
大きくすることを「開ける」といいます。
先程ちらっと出てきた「開放」という言葉。
「開放f値」ということもあります。
これはレンズの絞りを最大のところまで開けた時のf値のことです。
(レンズによって異なります)
この数字が小さいほど「明るいレンズ」という言い方をします。
f値が不規則な数字になっているのはなぜ?
f値は、レンズの焦点距離をレンズの直径(有効口径)で割った数字のことです。
あ、『算数が苦手!(> <;;)』という方は、さらーっと読んでください。
光の量は、穴の直径ではなく面積で決まります。
直径が1/2になると面積は1/4になります。
そのため、f値は不規則な分かりにくい数字が並んでいるのです。
『なんだか覚えにくい・・・やっぱりいいカメラは敷居が高いよ~』
この数字を丸暗記する必要は全くないですよ。
「絞り」は写真の仕上がりにかなり大きく影響します!
絞りのことがわかると、
もっとカメラを楽しむことができるようになります!
もう少しお付き合いくださいね。
「被写界深度」って何?
『もう!また難しい言葉が増えた~』と思ったかもしれません。
「被写界深度」とは、
とても簡単に言うとピントが合う範囲のことです。
f値が変わると写真のぼけ方が変わる!
f値を大きくして撮ると・・・
f値が大きい(絞りを絞る=穴の大きさが小さくなる)と
被写界深度が深い(ピントが合う範囲が深い)。
f値を小さくして撮ると・・・
f値が小さい(絞りを開ける=穴の大きさが大きくなる)と
被写界深度は浅い(ピントが合う範囲が浅い)。
代表的なf値
このf値だとこんな感じに撮れる、というおおまかな目安をお伝えします。
ご自分のカメラをお持ちの場合は、
実際にシャッターを切ってみて写真の仕上がりを見比べてみてくださいね。
シーン別おすすめのf値はこれ!
f1.4~2.8 背景を大きくぼかしたい、暗いところで撮りたい
開放f値に近づければ近づけるほど、
ピントが合ったポイントの前後はぼけるようになります。
プロが撮ったような背景がふわっとボケた写真に近づきますよ。
この時注意してほしいのは、
絞りを開けるとピントが合う範囲が狭くなる(被写界深度が浅くなる)ので、
ピント合わせは確実に行いましょう。
撮りたい主役とは違うモノにピントが合ってしまうと、
とても残念なことになってしまいます。
f4~5.6 シャッターチャンスをモノにしたい
撮りたいものにはしっかりピントが合い、背景は程よくボケる感じになります。
キットズームレンズの開放f値がおおよそこの範囲です。
f8~11 風景をダイナミックに撮りたい
風景写真は全体的にピントを合わせて撮ることが多くなります。
絞りを絞るとカメラに入ってくる光の量が少なくなるので、
シャッタースピードを遅くして光の量を補います。
シャッタースピードが遅くなると手ブレが起きやすくなります。
手ブレしないように三脚を使用しましょう。
f14~22 ぼかさずに撮りたい
「パンフォーカス」という言葉を聞いたことがありませんか?
パンフォーカスとは、手前から奥まで、
近くのモノから遠くのモノまで全体的にピントが合っている状態をいいます。
このパンフォーカス写真を撮りたいときに使います。
「シャッタースピード」って何?
その名の通り、シャッターを切るスピードのことを言います。
シャッタースピードが速いと
水の流れや人の動きを止まったように撮ることができます。
被写体が動いても被写体の動きよりも早いシャッタースピードであれば、
比較的ブレにくくなります。
ただ、シャッターが切れるわずかな瞬間に
撮影者や持っているカメラが動いてしまうとブレてしまうことがあります。
正しいカメラの構え方ができていれば、この心配はなくなります。
元気に動き回るお子様やペットを撮りたいときは、
シャッタースピードが速い方が適していると言えますね。
シャッタースピードが遅いと
水の流れや光の軌跡を繋がっているように撮ることができます。
シャッタスピードをぐっと遅くして1/4秒でシャッターを切ると、
「カッ・・・・シャン」
というシャッター音になります。
この音の間に動くと、手ブレ写真になります。
スローシャッターで撮影したいときは、三脚で固定して撮ることをおすすめします。
場合によっては、三脚が使用できないことがあるかもしれません。
その時は、壁や柱に自分の体の一部をつけて構えるなど工夫してみましょう。
昔、教科書に載っていた星空の写真を覚えていませんか?
南の空は北極星を中心に星の光が円を描いて、
東の空と西の空は斜めに星の軌跡が写し撮られていましたね。
あの写真は「バルブ」という機能で撮影されています。
夜景や天体観測などの長時間露光で撮影するときに使います。
シャッタースピードのダイヤルをバルブ(B)に合わせると、
シャッターボタンを押している時間だけ
露光(=カメラの中に光を取り込むこと)され、
シャッターボタンを離すとシャッターが閉じます。
三脚は必須です。
シャッターボタンを手で押すと、
押した振動でカメラ自体が動いてしまう恐れがあるので
リモートスイッチという別売の付属品を使います。
「ISO」とは?
『ISO45001やISO9001は聞いたことあるよ!』という方がいるかもしれません。
ISOとは「国際標準化機構」のことを言います。
デジタルカメラの撮像素子がどのくらい光に反応しやすいか
を数値で表したものです。
ちなみに、ISO45001はISOマネジメントシステムの中の
労働安全マネジメントシステム、ISO9001は品質マネジメントシステムですね。
私も以前、当時の職場で取り組んでいたことがありました、懐かしい。
気を取り直して、本題に戻りましょう!
ISOとは、光に反応する度合いのこと
「ISO感度」ともいいます。
カメラにもよりますが、基本はISO100からです。
同じ光の量を取り込んでも、ISOの数値が小さいと光にあまり反応しません。
逆にISOの数値が大きいと、少ない光の量でも撮影できます。
暗い場所での撮影では、ISOの数値を大きくすることが多いです。
私が持っているカメラEOS 80DはISO16000までありますが、
実際に使うのはISO800くらいまでですね。
というのも、ISOの数値を大きくすると
撮影画像のザラつき感(ノイズ)が増して、
画質が悪くなってしまうのです。
このISOもオートに設定することができます。
最初のうちは、ISOはカメラにお任せしましょう。
だんだん感覚が掴めてきたら、自分で設定してみましょう。
まとめ
写真を撮るためには、
被写体に合った最適な光を取り込むことがとても重要です。
被写体に合った最適な光は
・絞りという穴の大きさ
・シャッタースピードという光を取り込む時間
・ISOという光に反応する度合い
この3つで決まります。
最初のうちは、言葉自体が難しかったり、
慣れないことの方が多いと思います。
ご自分のカメラがある方は
このページの内容や写真を参考にして、
実際に撮ってみてください。
同じ被写体を、シャッタースピードや絞りを変えて撮ってみることで、
学びと実践が化学反応を起こして
もっともっと写真が楽しくなりますよ!
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