撮影テクニック
「花をステキに撮りたい!」を叶えます!

道端に咲く一輪の花。
花壇でたくさん咲いている花。
日本には四季がありますね。
春は桜、夏はひまわり、
秋は木々の紅葉などなど。
「きれいだなあ」
と思ってシャッターボタンを切っても

「あれ・・・なんだかイマイチ・・・」
こんなこと、ありませんか?

花を撮影する時に
気をつけてほしいことがあります。

ただ漫然と写真を撮るよりも、
自分が撮りたいと思っていた
花の写真が撮れるようになりますよ。

ステキな花の写真を撮影するコツ

「花」と言っても、
実はさまざまなシチュエーションがあります。

一輪だけで咲いていたり、
一面に広がるお花畑だったり。
桜は木の枝先に咲きます。
花壇のお花は地面の少し上。

「いっぱいあって、なんか覚えるの大変そう・・・」
いえいえ、そんなに難しくないですよ。

シチュエーション毎に
わかりやすく解説していきますね!

 

一輪の花を撮りたいときは?

まずは、
一輪の花を主役にして
撮影する時のポイントから見ていきましょう。

「ああ、きれいな花が咲いているなあ」
と花に目が留まった時、
まず最初に“主役”の花を決めましょう。

最初に目に入ったものが、
花壇のお花やお花畑全体の場合も
“主役”の一輪を
決めておくことをオススメします。

『主役の基準って何?わかんない!!』

そんな時は、

・花びらやおしべめしべといった花そのものがきれいなもの
・光の当たり方がきれいなもの
・花びらのフチが汚れたり、枯れたりしていないもの

こんなポイントに気をつけて、
探してみてください。

早めに咲いた花は
枯れかかっていることもあるでしょうし、
これから咲く花は、
まだ蕾の状態かもしれません。

どのお花に「きれい!」と感じたのか
注意深く探してあげてください。

 

望遠ズーム:背景をぼかして花(主役)を引き立たせる

主役の一輪が決まったら、
背景をぼかして花を際立たせると
花びらの色合いや柔らかさを写し出すことができます。

お手持ちのカメラがある場合は、

①絞り優先モード(A、Av)に設定して、

②F値をできるだけ小さくして(絞りを開いて)

③ズームレンズなら望遠側(アップになる側)にして

④主役の花に近寄って撮影する

この方法で、
主役の花をアップにして
背景をグッとぼかした写真が撮れますよ。

背景をぼかした桜

上の写真は、赤丸の桜の花が主役ですが、
奥の方の桜が少しごちゃごちゃしています。
下の写真は、
奥の桜をグッとぼかして、
手前の主役の桜を目立つようにして撮影しています。

背景に意識を向けましょう

花の色と背景の色が似通っていると、
花と背景の色がほとんど一緒になって
目立たなくなってしまうことがあります。
例えば、うすいピンク色のお花を撮りたい場合。
白っぽい曇り空を背景に選ぶと、
花びらのピンク色がまったく引き立ちません。
少し陰になっているところを背景にすると
花びらの色がよくわかります。
お天気がよければ、青空を背景にすると
色のメリハリがついて、印象的な写真になります。

桜と曇り空と青空

上の写真は、曇りの日に撮影しました。
雲の色と桜の色がほぼ一緒、
下向きに咲く桜の花が陰になり
より一層さみし気な感じになっています。
下の写真は、良いお天気の時に撮りました。
青空の青と桜の花びらの色のコントラストが
春らしさを感じさせます。
黒い桜の幹が写真を引き締めてくれています。

 

ピントの位置で写真の印象が変わる

主役の一輪には
しっかりピントを合わせましょう。

当然と言えば当然ですが、念のため。

先ほどの
『②F値を小さくして絞りを開ける』をすると
ピントが合う範囲がとても狭くなります。
(被写界深度、といいます)

ほんの少しピントがずれただけで、

「あれ・・・何が撮りたかったんだっけ・・・」

という、
残念な失敗写真になってしまいます。

ブレずに撮るコツは、
脇を軽くしめて、
ゆーっくり細く長く息を吐きながら
シャッターボタンをそっと押しましょう。

「ブレちゃいけない!」
と思って必要以上に力んだり、
シャッターボタンを
「グッ」と押しすぎると
かえって手ブレする可能性があります。

何枚かシャッターを切って、
あとで手ブレしていない写真を選びましょう。

ツツジの写真

 

花のおしべやめしべにピントを合わせる

花は、花の中心に
雌しべや雄しべがあるものが多いです。
その場合は、
雌しべや雄しべにピントを合わせましょう。

雌しべ雄しべとは
違った場所にピントが合ってしまうと
どこをどう撮りたかったのか
よくわからない写真になることがあります。

雌しべ雄しべにピントが合っていると、
主役の花全体がクッキリと写し出されて
より引き立ちます。

ツツジのシベにピントを合わせる

手前の花びらにピントを合わせる

雌しべや雄しべが
出ていない花もあります。
チューリップやスズランなどは、
花びらが雌しべ雄しべを包むように咲く花です。
このような花の場合は、
一番手前の花びらにピントを合わせましょう。
カメラはピントが合った所から
少し手前と奥の方にピントが合うようになっています。
手前よりも奥の方が
ピントが合う範囲が少し広いので(被写界深度)
このカメラとレンズの特性を活かしましょう。

F値を開放気味にすると、
手前の花びらはしっかり質感を写し出して
奥の方の花はふわりとボケて
柔らかい雰囲気になります。

シベが出ていない花の撮り方
右側の写真、白丸のところにピントが合っていて
茎や地面の方はふわりとボケています。

 

マクロモード:花の細かい部分をクローズアップする

マクロモードを使うと、
花の雌しべや雄しべといった細かい部分を
アップにして撮ることができます。
マクロモードを使うと、
レンズが被写体に触れるぐらいの接写が可能になります。

お手持ちのカメラがある場合は、

①マクロモードに設定する

②花に思いっきり近づく

③撮りたい被写体(雌しべや雄しべ、花びら)に
ピントを合わせて撮る

花はフレームからはみ出すくらいにして、
撮りたい部分を
目いっぱいアップにして撮ってみましょう。

まるで、昆虫目線のような写真が撮れるかも!

近づきすぎると、
ピントが合わないことがあります。
オートフォーカスだと、
ピントが合わないとシャッターが切れません。
ピントが合う距離まで、
カメラの位置を離してみましょう。

 

たくさんの花を撮りたいときは?

一輪で咲く花はもちろんですが、
たくさん咲いている花もキレイですよね!

たくさん咲いている花を撮るときは
また違ったコツがあります。
さっそく見ていきましょう!

画面の中のバランスに気をつけて

一面に広がる花々を撮る場合は、
フレームいっぱいに収めると
賑やかで華やかないろどり溢れる写真になります。
お花畑のように
色とりどりの花が咲いている時におススメです。
花の色が異なる場合は、
主役に置きたい花の色を決めて
フレームに入れる分量を調整します。
主役の色を多く入れて、
主役以外の色を少し入れると
主役の花も脇役の花も引き立ちます。
お花を画面いっぱい入れるときのバランス

 

花が密集しているように写せるポイントを探しましょう

花をたくさん入れて撮るときは、
密集している感じに撮ることが大事です。
花を撮るときの角度によっては、
花の印象よりも茎の長さや
周りの空間が目立って
花がまばらに咲いている印象になってしまいます。

自分の立ち位置や
目線の高さを色々変えてみて
花と花がギュッと密集して見える角度を探してみましょう。

花がもつ華やかさが、より一層際立ちますよ。

 

花以外の要素を入れるとき

お花の周りを見てみると、
違う種類のお花や青空、
ぽっかり浮かぶ雲などが目に留まるかもしれません。
周りの風景を入れるときは、
どのくらいの面積を入れるのかが重要です。

構図の一つに、
「三分割法」と呼ばれる基本の構図があります。
文字通り、
フレームを三等分して
被写体を配置する方法です。

お花畑を主役にするのであれば、
面積の3分の2までお花を入れて
空を3分の1入れるようにすると
お花のカラフルさと
青空の青がバランスよく撮影できます。

花以外の要素を入れるときのバランス

 

“光”で印象はガラリと変わる!

光が被写体のどの方向からあたっているか、
を意識したことはありますか?

光の当たり方は、
写真の印象を大きく左右します。

身近な例でいうと、
パスポートや履歴書用の証明写真は
人物の顔がはっきりと写るように
正面から光をあてることが多いです。

プロのカメラマンに
ポートレート撮影をしてもらうと、
逆光で人物の輪郭を
浮き上がらせるようにして撮ることもあります。

順光:光が花の正面に当たる状態

順光で撮影するには、
自分のうしろに太陽がくる位置で撮影しましょう。
そうすると、
被写体の正面から太陽の光があたります。

被写体に自分の影が
かからないように注意してください。
自分の影がかかる場合は、
被写体のお花から少し離れたり、
撮影する角度を変えたりしてみてください。

花びらの色は、
日光が正面からあたっていると花本来の色を写せます。
花の色や形をキレイに写してあげましょう。

写真を確認して、
花びらの色が明るすぎると感じる時は
写真の明るさを少し暗くして調節してみてください。

順光で撮影した桜

逆光:花びらや葉が光に透けて印象的な写真になる

逆光で撮影するには、
被写体のうしろに太陽がくる位置で撮影しましょう。
太陽の光がうしろの方からあたっていると、
花びらの色が透けて、
とても趣のある写真になります。
順光で撮影したときとは違う表情を見せてくれます。

逆光で撮影した桜

ファインダーに太陽が入って
撮影しづらいときは
被写体のお花の斜め後ろから
太陽の光があたる位置にするなど
ベストポジションを探してみてください。

ひまわりを順光と逆光で撮影
上の写真は、ひまわりを順光で撮影したものです。
ひまわりの明るい黄色と青空の青色が
夏らしさ満点です。
下の写真は、逆光で撮影しました。
順光とは違って、太陽光が花びらから透けて
また違った表情を見せてくれています。
この“光探し”も楽しい時間です。

 

明るさを少し変えてみましょう

順光でうすい色の花を撮影すると、
写真が明るくなりすぎて
本来の花の色よりも白っぽく写ることがあります。

その場合は、露出補正をマイナスにして
少し暗めの仕上がりにしてみましょう。

花本来の色味を撮影することができます。

逆光で撮るときは、
被写体よりもうしろの方が明るいと
カメラが判断した場合
暗い仕上がりになることがあります。

その場合は露出補正をプラスにして
明るい仕上がりになるように調節してみてください。

ひまわりと露出補正

 

撮影する立ち位置や
角度を変えて撮影してみましょう

お散歩中に、
かわいいお花やステキな景色を見つけたら
足を止めて、立ったまま
シャッターボタンを押すことが多いと思います。

決してそれが
悪いわけではないのですが。

『被写体に対して、カメラをどの位置に構えるか』

これをちょっと工夫するだけで
いつもとは違う写真と出会える確率が
格段に上がってきます。

詳しく見ていきましょう!

基本は花の高さ:水平アングル

アングル」とは、
カメラでモノを写す角度のことを言います。

足元や目線の低い位置に咲くお花を撮るときは
立ち姿勢のまま、
お花を見下ろす感じで撮影すると思います。

これは「ハイアングル」と呼ばれます。

お花を見下ろす感じで撮ると、
お花の一番手前にピントを合わせて
その後ろは少しボケる感じになります
(絞りの数値で変わりますが)。

ここで、
しゃがんでお花の高さまで
自分の目線を下げて撮影してみましょう。

撮影する角度を変えるだけで、
写真の印象が変わってきます。

横から見ることで、
花びらや雌しべ雄しべといった細かい部分、
茎や葉の生え方にも目が行きます。

花と同じ高さで撮影するので、
「水平アングル」と呼ばれます。

ハイアングルと水平アングル

上の写真がハイアングル、下の写真が水平アングルです。

被写体の上から見下ろす角度だと、
背景の色味が限られてきます。

花壇だと地面の茶色、
舗装された道路だとアスファルトの灰色。

密集して咲いている場合は
、他のお花の茎や葉の緑を背景にすることもできます。

お花の高さに目線を下げると、
背景の色味も変わります。
雲が流れる青空や、
日没が近いと夕焼け空、
お花畑なら、
主役のお花のうしろにある他のお花を
全部脇役にしてぼかして撮る、
いろいろアイディアが膨らみます!

地面やアスファルトの背景が
NGというわけではありません。

お花の瑞々しさを際立たせるために、
あえてアスファルトや
人工物を背景に持ってきても面白いと思います。

『出会った景色を“あなた”がどう切り取りたいか』
これが大事!

この「アングル探し」をやり始めると、
一つの被写体を撮影する時間がものすごくかかります。
その分、
自分の観察力や探求心がぐんぐん伸びてきます。

せっかくの出会いですから、
いろんな角度から撮ってみてください。

 

木の枝に咲く花はローアングルで

桜の花などの木の枝に咲く花は、
人間の目線より上にあることが多いです。

このような場合は、
カメラが被写体を見上げるローアングルとなります。

桜は木の枝先にたくさんの花を咲かせます。
桜並木があれば、
桜並木全体をパシャリと撮るのもいいですね。

キレイに咲いている一輪を決めて、
お天気がよければ、青空を背景にして撮影すると
桜の薄いピンク色が映えます。

曇り空を背景に持ってくると、
雲の灰色に桜のピンク色がなじんでしまって
キレイに引き立ちません。

お天気が良くない時は、
他の桜を背景にして、
桜の花をたっぷり写して撮影しましょう。

他の桜を背景にする

バリアングル液晶は便利!

今のカメラは便利な機能が付いています。

その機能の一つが
『バリアングル液晶』です。

この機能がないカメラだと、
ファインダーから写る範囲を確認するために、
脚立を準備して持ち歩いたり、
地面にはいつくばって撮影したり、
といったことをしてました。

でも、この
バリアングル液晶(可動式の背面モニター)があると
無理な姿勢をとらなくても
撮影範囲をバッチリ確認することができます。

時折、ファインダーをのぞかずに腕を伸ばして
シャッターボタンを押して撮影している人がいます。
あまり気にしない方なら良いと思います。

ですが、
どこにピントが合っているのか、
どこからどこまでの範囲が写っているのか、
写ってはいけないものを入れていないか、
心配性のカタマリのような私にはとてもできません・・・

カメラの機能を使いこなせると
写真ライフがどんどん楽しいものになってきます。

カメラを使いこなしていくうちに
自分もカメラに教えてもらっていた、ということがよくあります。

あなたにも、
この楽しさを知っていただけたら嬉しいです。

まとめ

一口に『お花』といっても
いろんな撮影方法があります。

このページで紹介した方法を
一度に全部できる必要なんてありません。

あなたにできそうな方法から
少しずつ試してみてください。

『今日はこの撮り方をしてみよう』

カメラとウキウキした気持ちを連れて
カメラライフを楽しみましょう!

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